「安全保障法案の制定を行わないよう求める意見書案」に賛成する討論

※2015年6月30日(火)に行った「集団的自衛権の行使を容認した閣議決定を撤回し、安全保障関連法案の制定を行わないよう求める意見書案」(市民クラブ/社民・市政/緑とネットが立案)に賛成する討論の原稿です。実際の発言とは多少異なりますので、ご了承ください。

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今回の戦争法は4月27日に改訂された日米安保ガイドラインを実行するための法整備であり、集団的自衛権行使をするための法整備です。自民・公明政権が新三要件が歯止めになるといっていますが、武力攻撃事態法改正での「存立危機事態」、国際平和支援法の「他に適当な手段がない」、周辺事態法改正での「必要最小限度の行使」、いずれも具体的基準は不明確であり、時の政権に判断が委ねられるという極めて危険なものです。そもそも国際平和支援法での後方支援・兵站部門は武力行使と一体のものであり、戦闘行為そのものです。現に戦闘行為がない場所での兵站部門であっても敵対国からは攻撃目標となります。また戦争法が可決すれば、重要影響事態法改正では地理的制約が外され、日米新ガイドラインに従い米軍と自衛隊が一体化し、地球の裏まで戦闘行為を行うことになります。まさに米軍と自衛隊が一体化して戦争する国になるための法案です。

これまで政府は集団的自衛権は違憲としてきましたが、安倍政権は「砂川裁判の判決」をもって集団的自衛権行使の合憲性を主張し、また1972年政府見解を根拠に合憲を主張しています。しかし、砂川事件は集団的自衛権の是非を問うた裁判ではなく、憲法9条による武力行使ができない状況下での安保条約の下での米軍基地の存在を合憲としたものです。また、1972年政府見解でも集団的自衛権を認めたものではなく、宮崎元内閣法制局長も戦争法は違憲と厳しく批判しています。衆議院憲法審査会で招聘された3人の憲法学者が違憲と断じたことをはじめ、圧倒的大多数の憲法学者は戦争法は違憲としています。また、昨日の日経新聞世論調査でも56%が違憲、合憲は22%、57%が今国会で成立させるべきでない、今国会で成立させるべきは26%、81%が説明不足、説明は十分と答えた人は僅か8%でした。この世論調査を見ても戦争法に多くの国民が反対している、また国民に支持されていないことが見えてきます。

憲法を遵守することは安倍首相をはじめ全ての公職になるものの責務です。宮崎元内閣法制局長が「黒を白と言いくるめるものだ」と厳しく批判した解釈改憲は憲法違反行為です。加えて自民党国会議員の学習会で自民党議員の「政府を批判する報道に対してして広告主を通じて規制すべし」という旨の発言、講師の百田氏の「沖縄の二紙はつぶさないといけない」という発言など、言論の自由・報道の自由を否定するこれらの発言は、民主主義を根底から覆すもので許されるものではありません。憲法を遵守しない政権と、その政権内からの言論の自由・報道の自由を否定する発言、更に教師に政治的中立的を要求するとして政治的に教育に介入し思想信条の自由も否定する動きは、まさに民主主義の危機と言えます。

先日昭和10年頃の記録映像を見ましたが、国内の賑わいの裏に自国防衛という名で侵略が始まっていた当時と、今日の状況が重なって見えました。戦争法が成立すれば、日本は戦争する国と見なされ、これまで築いてきた戦争をしない国としての国際的信頼を失うことになります。米軍と自衛隊が一体となって戦争すれば、日本は紛争国の国民の憎しみを買い、日本国民は国内外でテロの対象となり、これまで築いてきた国際的人道支援も困難になります。集団的自衛権は抑止力にならないばかりか、国民の安全を脅かすことになります。憲法を遵守し、民主主義を守り、戦争をしない国としての信頼を築くことこそ国際平和に寄与することになります。平和にこそ幸せが生まれます。戦争は悲しみと憎しみを生み、新たな紛争の火種をつくります。議員諸氏の賛同を訴えて賛成討論を終わります。

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