超高齢化社会を迎え人口減少社会になった今日、全国の自治体は厳しい財政状況下で住民福祉をどのように実現するか問われています。中でも、公共施設や道路、上下水道など都市基盤施設の維持管理および建て替え費用を如何に抑制するかが大きな課題となっています。
先進的な自治体では公共施設の状況をさまざまな角度から調査した「公共施設白書」をつくり、施設の長寿命化を図るとともに、将来の費用を見積もり、財源の確保をして、計画的に予算を執行しようとしています。
例えば名古屋市では、長寿命化だけでは財政的に限界があるとの認識から、公共施設の「総量削減」を進めています。具体的には、施設の「量」よりも「機能」を重視し、人口動態や利用状況をもとに、施設の建て替え時には施設の複合化や、類似施設の集約、将来の利用転用ができるようにスケルトン建築にするなどの計画をしています。さらに40年間で公共施設を10%削減するとして、新たな施設はつくらない、改築・改修の場合は面積を削減するとしています。
また志木市のように、施設複合化による削減で市民の生活の質を下げないようにするため、計画段階から市民参加で施設建設を進めている自治体もあります。
福岡市においては、2008年にアセットマネージメント基本方針を作り、現在第2次実行計画を実施しています。しかし福岡市の大きな問題は、第二展示場建設や人工島への接続道路建設など政策的なものを計画に入れておらず、このままでは将来世代に負担を残すことになります。福岡市はこれ以上、無計画に施設整備を進めるべきではありません。