新型コロナウイルス感染症対策に関する申し入れ(第3次)

本日、市長宛および教育長宛に申し入れ(第3次)を行いました。

 

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2020年5月12日

福岡市長 髙島宗一郎様

緑と市民ネットワークの会
荒木 龍昇
森 あやこ

新型コロナウイルス感染症対策に関する申し入れ(第3次)

  新型コロナウイルス感染症対策として4月7日に緊急事態宣言が発出され、当初の解除の目安は5月6日でしたが解除とならず、当面5月31日まで継続となっています。政府は5月14日に今後の解除の見通しや解除後の方向性を明らかにするとしています。この間、感染拡大防止のために住民の外出自粛と事業活動の休止ないし営業時間短縮等が求められ、市民や事業者は協力をしてきました。同時に、医療関係者、介護事業関係者、保育や学童保育などの関係者が感染リスクと向き合い奮闘されています。この様な感染拡大防止に応えるべく国・県の様々な支援施策が出されました。国・県の支援でカバーできない部分を補う市独自の施策が出されたこと、また市職員および関係者の皆さんのご尽力に、私たち緑と市民ネットワークの会として敬意を表します。

しかし、仮に解除されても直ちに従前の状況には戻りません。また第2波、3波の感染もあると言われています。現在打ち出されている市民の命と暮らしを守り事業継続ができるようにする支援施策がより有効に働くとともに、長期的な対応について説明がなされるよう以下申し入れをします。

1、出口戦略を持ち、市民に説明をすること

1)PCR検査等の拡充について
安倍首相は5月14日に政府専門家会議の意見を聞いて今後の解除についての判断を示すとしています。ところが、国の専門家会議の委員からはPCR検査数が十分でないため判断が難しい旨が発言され、検査拡充の必要性が指摘されています。厚生労働省はこれまでのPCR検査受診の指針が「誤解であった」などと不謹慎な発言をしていますが、政府の検査抑制が実態を十分把握できず感染を広げてきたと言えます。国でも検査指針を変更しPCR検査を増やすとしていますが、福岡市においても「誤解」とされた政府の指針の下で検査を抑制してきたために感染実態が十分把握できているのか疑義を持つところです。福岡市医師会の協力を得てPCR検査の拡充が行われることとなりましたが、より迅速に検査ができるよう人員、施設・設備等の拡充を求めます。人的拡充については、医師や看護師、検査技師などの免許を有する休眠資格者に協力を依頼することなどを求めます。また、抗原・抗体検査も導入されるとのことですので活用し、感染状況を把握して下さい。

 2)より正確な感染状況の把握と解除および解除後の施策を作り、市民に説明すること
 市民や事業者は緊急事態措置の解除がいつになるのか見通しがないことに大きな不安を持っています。また、解除後も段階的な措置が求められます。より正確な感染実態を把握し、市として解除の見通しをもって県と協議を求めます。また、解除後の生活や事業活動の措置、および学校教育の在り方について説明することが求めます。

 3)第2波、第3波に向けて感染予防対策の措置を維持・強化すること
 ワクチンが開発されるまでの間は感染状況の把握と対処措置が継続されることが必要と考えます。また、第2波、第3波もあり得るとも言われています。その為に福岡市医師会と協力し、検査体制の維持及び隔離等対処措置の維持を検討する必要があります。また同時に医療関係者や介護関係者の感染予防機材等や人的な支援措置の継続が必要と考えます。国および県に対しての支援措置を求めると共に、市独自の対応を求めます。

 4)支援の在り方について現場の声を聞いて見直すこと
福岡市独自の医療機関、介護施設、保育等に対する支援措置については感謝するところですが、制度設計をするときに関係者の声を聞いたのか疑義があります。とりわけベッド数19床以下の有床診療所について区分が設けられていないことなどの指摘があります。有床診療所は地域での包括ケアシステムの一翼を担う医療機関として重要な存在でもあります。迅速な措置が求められているにしても、限られた資源でより有効な支援となるためには関係者の声を聞くことが重要ではないかと考えます。今後とも様々な医療機関の支援が必要となることを鑑みると、関係者の意見の聴取を行い、制度の手直しの検討が必要と考えます。
また、介護や保育の現場においても関係者の声を聞いて制度設計するよう求めます。

 2、支援措置が速やかに実施されるよう措置すること

 様々な支援措置が実施されますが、最も大事なことは必要としている人に速やかに届くことです。その為には、周知の徹底と手続きの簡素化が必要です。
福岡市は相談窓口の案内などは市政だよりやホームページに掲載していますが、市政だより5/15号では「休業要請に協力した事業者への支援」と「医療や介護、保育の従事者等への支援」に関する市独自施策の案内は記載されていますが、生活支援に関する記載がありません。たとえば、
・住宅の相談(住宅確保給付金の対象が緩和されている)や市営住宅の提供
・新型コロナウイルス感染による休業について国民健康保険の傷病手当が出ること
・10万円の特別給付は無戸籍者、ホームレス、DV被害者や虐待を受けて避難している住民の手続きが現居住地で直接できること
・市税や各種保険料、水道料金等の支払いに関する相談(5/1号には掲載していたが、5/15号には未掲載)
などの記載がなく不十分です。多様なメニューが用意されている支援制度をより周知をするためにポスターなどを作成して区役所、公民館や地下鉄などで掲示することを求めます。
また、厚生労働省から新型コロナウイルス感染症対策として生活困窮者自立支援法や生活保護について、制度の運用を緩和する旨地方自治体に事務連絡がなされています。福岡市として相談窓口および支援員の増員を行い、必要としている住民に寄り添った支援を求めます。

3、医療関係者、介護関係者やライフライン等従事者や必要な市民が安心して仕事ができるようにすること

保育従事者の負担軽減のために可能な方にはできるだけ自宅での保育をお願いしています。ところが必要な市民が利用できない状況が多々出ています。保育等の利用を理由無く拒否すること、また感染のおそれをもって利用を拒否することは感染者に対する差別です。感染のリスクに直面する厳しい状況で、必要な人に必要なサービスを提供するために支え合うことで「コロナ危機」を乗り越える必要があり、保育等事業者に指導を求めます。
また、介護や保育の現場などに拡大感染防止のために必要なマスクや消毒液等の充足や、PCR等の検査を実施し、安心して受け入れが出来るよう措置することを求めます。

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2020年5月12日

福岡市教育委員会 教育長 星子明夫様

緑と市民ネットワークの会
荒木 龍昇
森 あやこ

新型コロナウイルス感染症対策に関する申し入れ(第3次)

  新型コロナウイルス感染症対策として4月7日に緊急事態宣言が発出され、当初の解除の目安は5月6日でしたが解除とならず、当面5月31日まで継続となっています。政府は5月14日に今後の解除の見通しや解除後の方向性を明らかにするとしています。教育委員会には長期に亘る休校措置で児童・生徒は入学式および始業式が無いまま新学年を迎え、不安な日々を送っていることについて教育委員会におかれましても十分承知されていることと思います。学力保障としてテレビによる授業が始まり、教育委員会としての尽力には感謝いたします。しかし、子どもの権利条約で謳われている「生きる権利」、「育つ権利」、「守られる権利」、「参加する権利」が保障されているとは言えません。私たち緑と市民ネットワークの会は、学力の保障と子どもの心身が健全に維持されために以下の申し入れを重ねて行います。

1、福岡市のPCR検査拡充による感染実態を踏まえて、教育委員会として出来るだけ早い時期に緊急事態措置の解除の見通しと解除までの教育委員会の措置および解除後の方針について児童・生徒および保護者に説明して下さい。

2、解除後も感染症予防対策を継続する必要があり、教室の使い方の工夫や教員等の増員が必要です。また、児童・生徒もこれまでと異なる1年を過ごすことになることから、出来るだけ一人ひとりに寄り添った対応が求められます。大幅な教員等の増員を行い、子どもの育つ権利を保障することを求めます。

3、教師が家庭訪問できない上、電話での連絡も十分なされていないと言う声を聞く状況で、子どもの安否確認はできているのか疑問を持たざるを得ません。速やかに児童・生徒の安否確認を実施して下さい。

4、学力保障のためにテレビ授業を開始したことは評価します。しかし、ネット環境だけではなくテレビ授業に参加するための環境がない児童・生徒も居ると聞きます。安否確認をかねてできるだけ早い時期に分散登校を実施し、入学式や始業式を行って下さい。また、学習保障のために必要な児童・生徒に学校を開放して支援して下さい。

5、学校給食がない上に多くの子ども食堂も閉鎖されている状況で、十分食事がとれていない児童・生徒が居ると思われます。食事が十分とれていない児童・生徒や保護者の負担軽減のため、パンや牛乳など調理しなくても良い簡素な学校給食を提供して下さい。

6、休校継続中は、児童の健全な生活を維持するために、監視員を配置して校庭を開放して下さい。

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