2022年10月13日
福岡市教育長 石橋 正信様
緑の党と市民ネットワークの会
荒木 龍昇
森 あやこ
ゲノム編集されたトマトの苗を受け取らないよう求める申し入れ
サナテックシード株式会社とパイオニアエコサイエンス株式会社は、ゲノム編集されたトマト(シシリアンルージュハイギャバ)の苗を、2022年度から全国の福祉施設へ、2023年度から全国の小学校へ無償配布する計画を打ち出しています。GABA(ギャバ)は血圧を下げる効果やリラックス効果が期待されるとして近年注目されているアミノ酸の一種です。開発した会社は「元品種のGABAの4~5倍」「健康」をアピールしていますが、ゲノム編集とは特定の遺伝子を破壊したもので、特定の遺伝子がなくなることは自然界でもまれに起こる現象ですが全く異なるものです。
ゲノム編集トマトは、遺伝子を破壊した後にゲノム編集していないものと交配し、新たな世代から破壊した遺伝子を含まないものを選び出すものです。交配するものが遺伝子組換えしていないという確認ができない問題のほか、特定の遺伝子を破壊しようとした時に、ねらった遺伝子と似た配列の別の遺伝子を破壊することがあるという問題が指摘されています。目的の遺伝子が破壊できた場合でも、切断された遺伝子の隙間に想定外の遺伝子が入り込んだり、想定外のタンパク質が生成されたり、更に大規模な遺伝子損傷が起きることが指摘されており、現代の科学技術では解決できないと考えられています。つまり、ゲノム編集したものの安全性については確認できているとは考えられません。
このゲノム編集トマトの苗が福祉施設や小学校に配られれば、施設利用者や小学生たちはこの苗を栽培することになる可能性が高いと思われます。そして、できたトマトは当然自分たちで食べることになります。ゲノム編集トマトの安全性もさることながら、子どもたちを利用するという発想に恐ろしさを感じます。
福岡市の学校給食では遺伝子組み換え食品は使用しないとしており、昨年の私たち会派の質問に学校給食の食材にはゲノム編集の食材は使わないと答えています。成長期著しい子どもにとっておいしく安全な学校給食が求められていますが、同時に食育の一環としてもゲノム編集トマトの育成はすべきではありません。
ゲノム編集トマトの苗を受け取る自治体は今のところないと聞いています。もし教育委員会が配布を認めれば、子どもたちを人体実験に差し出すのに等しい行為だと言えます。福岡市においてもゲノム編集トマトの苗を受け取らないよう、強く要請します。
なお、申し入れに対する回答は一週間後の10月20日(木)まで会派にいただきますようお願いします。
【参考サイト】
◎「タネと食を守ろう! OKシードプロジェクト」 https://okseed.jp/
◎有機農業ニュースクリップ No,1004「ゲノム編集の牛に組み込まれた抗生物質耐性遺伝子」(2019.9.8) http://organic-newsclip.info/log/2019/19091004-1.html
※当初「オフターゲットはない」と報告されていた米国・リコンバインテックス社のタレン(TALEN)技術を使ったゲノム編集による角のない乳牛(除角牛)から、ゲノム編集に使ったプラスミド由来の遺伝子の組み込みが見つかり、2つの抗生物質耐性遺伝子が含まれていた。