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高齢化社会に対応する交通システムの確立を!

●「移動の自由」は 基本的人権 です

人が自由に移動できることは基本的人権です。しかし実際には、さまざまな障がいや高齢により身体的な制約を受け、自由に移動ができない人たちがいます。

福岡市は「ユニバーサル都市」を標榜していますが、早良区南部ではバス路線の廃止、減便がなされており、このうえ高齢化が進むと、バス停まで歩いていくことや自家用車の運転自体が難しくなり、移動がもっと厳しくなります。暮らしの質を維持・向上させるために、市として市民の「移動の自由」を守るための施策が必要です。

●このままで超高齢化社会に対応できるのでしょうか?

福岡市は平成22年に「生活交通条例」を制定しましたが、高齢化などの地域の実情が考慮されていないなど、本当に困っている地域をしっかり支援できていません。

今年2月の「福岡市高齢者・障がい者に対する移動支援のあり方検討委員会」による提言では、高齢者・障がい者ともに買物や通院の外出が多く、高齢者ほど公共交通機関を利用しているが、バス停までの距離が苦になっていると分析されています。

市は、これをもとに「地域との協働による移動支援モデル事業」の実験を始めます。地域団体等へ車両を貸し出し、高齢者の日常の買い物などの支援を社会福祉協議会へ委託し実施するものです(市政だより9月1日号に掲載)。移動支援のあり方の方向性はよいですが、ボランティアを軸とした移動支援が持続可能なシステムになり得るのか、私は疑問を持っています。

●福岡市でも「ドアtoドア」の交通システムの導入を!

八女市では登録制の乗り合いタクシーによる「ドアtoドア」のシステムを運用しています。通常のタクシーのように、自宅など利用者が指定する場所にタクシーが迎えに行き目的地まで送りますが、それを「乗り合い」で行うことで、低料金で乗ることができます。

私は、持続可能な移動支援のシステムとして、八女市のように登録制の乗り合いタクシーを日常生活圏に限定し運用する、デマンド型の「ドアtoドア」のシステムが望ましいと考えます。

登録制にすることで運転手や電話オペレーターは利用者の生活状況が把握でき、介護との連携を図ることも可能です。使用する車両はワンボックスカーだけではなくセダンタイプのタクシーを活用すれば、障がい者も利用できるようになり、また、利用者3名であればコースを組むことも難しくはないはずです。

早良区南部地区のタクシー事業者が協働すれば、「ドアtoドア」のデマンド型乗り合いタクシーのシステムの導入が可能と考え、福岡市としても検討を始めるよう議会で提案しました。

※デマンド交通・・・予約を受けて運行する交通方式。(1)予約があったときだけ定期路線を運行する、(2)予約に応じてコースを組み替える、(3)指定エリア内でドアtoドアで運行する、などの種類があります。

(荒木龍昇)

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