月別アーカイブ: 2021年3月

新年度に寄せて…会派名変更のお知らせ

「いのちを政治のど真ん中に!」。私たちは、いのち・暮らし・環境を最優先する政治を提案しています。

コロナ禍はこれまでの経済効率優先の政策の問題点を浮き彫りにしました。「誰ひとり取り残さない」ための政策が必要です。私たちは、生活に困窮する市民への支援や、中小企業・小規模事業所などへの支援、医療・介護・保育などの従事者への支援を特に訴えてきました。また、子どもたちの教育環境や生活環境の改善も求めてきました。

私たちの暮らしを便利にすると言われている人工知能(AI)や5Gなどの最新技術は、個人情報保護の問題や健康被害の問題などの懸念もあり、慎重に進めるべきです。

また、近年の異常気象をはじめ、さまざまな環境危機も深刻です。髙島市長が掲げる「2040年脱炭素(ゼロカーボン)」を達成するため、脱化石燃料はもちろん、脱原発、そして再エネ100%の実現をめざして政策提案していきます。

なお、新年度から会派名を「緑と市民ネットワークの会」から「緑の党と市民ネットワークの会」へ変更いたします。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 

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新年度予算-組み替え動議に賛成!

私は緑と市民ネットワークの会を代表し、議案第30号ないし議案33号、議案第37号、議案第42号、議案第44号ないし議案第48号、議案第50号、議案第52号、議案第54号、議案第73号、議案第106号、議案第107号に反対するとともに議案第30号予算組み替え動議に賛同し、意見開陳を行います。

昨年は新型コロナウイルス感染症により経済的社会的に大きな影響を受けました。コロナ禍の終息はまだ見えず、その影響は数年続くとみられており、従来の都市の成長路線では解決できないことは明らかです。市長の2021年度市政運営方針におよび議案説明は、新型コロナウイルス感染症によって新自由主義的政策による貧困と格差の拡大と、医療・介護の削減を進めてきたことの問題が露呈したことに対する反省は全く見当たりません。都市の成長・経済成長が全てを解決するという発想が、相変わらず新年度予算案にも大きく現れています。いま必要なことは、市民の暮らしに寄り添った政策です。

新年度予算案においてこれまで同様、都市の成長政策として天神および博多駅周辺の再開発、中央埠頭再開発、人工島への投資を進めています。気候危機の対策が急がれ、国においては2050年カーボンゼロを宣言し法制化するとしています。福岡市においても2040年にはカーボンゼロを目標として地球温化対策実行計画の見直しを進めるとしています。しかし、都心部の再開発による床面積増でエネルー消費量は増えることとなり、人口増や集客増によるエネルギー消費量は更に大きく増えます。都心部再開発は気候危機を深刻化させ、市内の無秩序得な住宅開発は緑地の減少と質の低下、住環境の悪化と教育環境の悪化を引き起こしており、都市の成長政策の破綻が見えています。

中央埠頭においては、コロナ禍前からクルーズ船寄港数は2016年をピークに減少が始まっており、国際会議数も減少し始め、MICEへの前のめりの政策は将来の世代に大きな負担を残します。また、費用が膨張し続ける世界水泳のあり方は見直すべきです。港湾施設整備についても、コロナ禍の影響を受けた昨年以前も博多港の取り扱い貨物量は微増でありコンテナ貨物も微増で、コロナ禍後においても2016年策定の港湾計画通り大幅に増える見込みはありません。港湾計画は既に破綻しており、過大な港湾計画を基にした港湾整備は過大投資であることは明らかです。コロナ禍の影響や今後の超高齢社会・人口減少等をからも人工島への過大投資はやめるべきです。

また、行政効率化としてPFI事業や指定管理者制度を広げていますが、経費削減と市民サービスの向上に繋がりません。市はPFI事業終了後でなければ評価できないと繰り返しており、検証されないまま事業が進められています。PFIや指定管理者では自治体が実施すれば生じない消費税、法人税、管理費が発生し,同額の事業費であれば人件費を削減せざるを得ない構造となっており低賃金構造をつくります。また、対利用者サービスもマニュアル対応となりサービスは低下します。PFIガイドラインは、「民間に新たな事業機会をもたらす」と記載されているように、企業に新たな収益先をつくることを目的としています。地域に低賃金構造を広げ、市民にメリットは何もなく、場合によっては市民負担の増につながりかねません。コロナ禍において非正規雇用者の雇い止めや解雇が増え、事業活動も低下する中で賃金が低下し生活困窮に陥っている市民は多く、これ以上低賃金構造をつくる政策はやめるべきです。市民の可処分所得が増えなければ地域経済は活性化しません。文化や芸術の振興、教育や福祉・医療の支援などによるグリーンリカバリー政策を進め、PFIをやめ地場中小企業に分離分割発注するなどの支援すべきです。

つぎに市長は「次世代を担う子ども、グローバル人材の育成」をかかげていますが、子どもの貧困対策や教育環境についても成長政策で解決できるとは考えられません。ITCを活用する教育が必要とされていますが、電磁波やブルーライトによる健康問題、IT機器を使うことによる学習障害やいわゆる「スマホ脳」と言われる問題があり、子どもが健全に育つ環境をつくる必要があります。また、グローバル人材の育成と言いながら、ネイティブスピーカーについては委託し、「安上がり」な政策を進めています。直接雇用していた時期に比べ収入が半減に近い劣悪な労働環境で優秀な人材が確保できるのか、国際感覚を育てる教育ができるのか極めて疑問です。

また、チャレンジ精神をつくるとしてアントレプレナーシップ教育を推進していますが、これは過度な競争環境にあると指摘されている日本の子どもの教育環境を悪化させるものです。日本は子どもの自殺が異常に高く、子どもの自己肯定感が低い背景にはこのような教育政策が反映していると考えられます。子どもの権利条例制定を制定し、自らの権利意識と他者が置かれている状況を理解するエンパシー教育こそが今求められています。そのためには、一人一人の子どもに目を配り、子どもに寄り添った教育をするためには教員にゆとりが必要です。35人学級が法制化される動きとなっていますが、市独自に教員をもっと増やし、ゆとりがある少人数学級に取り組む必要があります。また、学校司書増やし学校での図書館の活用を進める、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーを増やすことが必要です。

新年度予算案においてデジタル化を更に進めるとしており、ICTを活用して行政の効率化と住民サービスの向上が図られていくことには賛同するものです。他方、LINE事件でもその一端が露見しましたが、個人情報が知らない間に集められ利用されていくことは、プライバシー侵害や犯罪のリスクを高めることにもなります。国ではデジタル改革関連法案が審議されていますが、個人情報は人権であり、個人情報の保護とセキュリティの強化が必要です。市におけるデジタル化においても個人情報保護の徹底とセキュリティ強化が必要です。また、市長はデジタル化で浮いた人員を対人関係の部署に回し住民サービスを向上させるといっていますが、デジタル化による人削減で現場の負担増を強いるのではなく、必要な部署には別途人員を充足することで住民サービスの向上を図るべきです。

この間の新自由主義政策、都市の成長政策により非正規雇用は増え、年収300万円以下の世帯は40%と貧困と格差が増大し、コロナ禍は更に追い打ちを掛けています。今後超高齢社会となっており人口減少が始まる中で、気候危機を深刻化させ経済効果も低い都心部再開発は見直し、過大な港湾計画を基にした港湾整備や必要性も事業効果もない都市高速道路の福岡空港への延伸事業などは中止すべきです。ポストコロナ、グリーンリカバリーを進めるに当たり、経済成長優先の新自由主義政策はやめ、都市の成長管理と医療・介護・福祉・教育などのエッセンシャワーカー支援など人への投資を優先すべきです。

以上の理由から2021年度予算案に反対し、修正動議に賛成するものです。

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