月別アーカイブ: 2020年5月

コロナ禍の中、不要不急の「自衛隊への名簿提供」はやめるべき!

自衛隊への名簿提供問題について、本日5月15日(金)、高島市長宛および個人情報保護審議会宛に下記の申し入れを行いました。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2020年5月15日

福岡市長 髙島 宗一郎様

緑と市民ネットワークの会
荒木 龍昇
森 あやこ

 自衛官募集のために18歳および22歳の市民の
名簿提供をやめることを求める申し入れ

 市長におかれましては、市民の命と暮らしを守る為に新型コロナウイルス感染症対策に日々尽力されていることに感謝と敬意を表します。4月1日付けで自衛隊と協定書を交わし、自衛官募集のために18歳および22歳の市民の名簿を自衛隊に提供することしていますが、市民の命と暮らしを守る点から中止を求めるものです。

去る1月31日付けで、福岡市は個人情報保護審議会へ自衛官等募集事務に利用することを目的として住民基本台帳記載事項を自衛隊に提供する旨の「個人情報の公益上の取り扱いについて」諮問しました。これを受け個人情報保護審議会目的外利用等審査部会が2月7日に開催され、2月14日に個人情報保護審議会は答申しました。

答申では、「自衛官等募集事務に利用することを目的として、自衛隊に提供することについては、公益上の必要性が認められるものと判断する。」とし、「自衛隊による個人情報の取扱いに不安を感じる市民や自己の個人情報の提供を望まない市民の心情にも配慮する必要があることを十分認識し、以下の措置を講じられるよう要望する。」として以下の措置を求めています。

(1)個人情報を提供する際の媒体は紙のみとし、提供する情報は、適齢者の「氏名」及び「住所」に限ること。

(2)提供する情報の取扱いについては、目的外利用の禁止等の情報管理の徹底及び事務終了後の確実な廃棄並びにこれらの実施状況に関する報告を書面で求めるなど、個人情報保護の観点から厳格な措置を講じること。

(3)毎年度、情報の提供に先立って、公益上の必要性に関する説明を含めた市民への周知を行い、自己の情報を提供してほしくない旨の意思表示を行った市民については、提供する情報から除外する措置を講じること。

(4)毎年度、自衛隊に個人情報を提供したことについて、公表を行うこと。

福岡市は答申を受け、自衛隊に18歳、22歳の市民の「氏名」「住所」の2情報を紙媒体で提供することを決め、4月1日から6月1日まで名簿の提供を望まない市民の申し出を受けるとして広報しました。福岡市議会では周知を図るためにダイレクトメールを該当市民に郵送することを求める意見も出ましたが、福岡市は拒否しています。市が周知の手段として実施した措置は、市政だより1回、福岡市ホームページ掲載および福岡市公式ツイッターで告知、各高校・大学にポスター1枚の掲示とチラシを若干枚配布、というものです。

福岡市が執っている措置は、答申が求めた措置(3)に反しています。福岡市の措置は個人情報保護法、行政機関個人情報保護法、福岡市個人情報保護条例で謳われている原則個人情報の目的外利用を厳しく禁じている趣旨を踏まえていません。市の執るべき措置は、個人情報保護法のガイドラインが示す「「本人に通知」とは、本人に直接知らしめることをいい、事実の性質および個人情報の取り扱い状況に応じて、内容が本人に認識される合理的かつ適切な方法によらなければならない。」に準ずるべきです。

また、2月18日総務財政委員会の説明では、市当局は繰り返し個人情報保護条例第10条第2項6号の公益上の理由なので、条例第10条第2項2号「本人の同意があるとき」は条例第10条第2項の提供できる事例として併記されているので、法の立て付けから本人の同意を取らなくなくても良いと答えています。しかし、個人情報保護法第8条および福岡市個人情報保護条例第10条第2項では「本人又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められる場合は」公益上等の必要があっても個人情報の提供を禁じており、福岡市は該当する市民に自衛隊に個人情報を提供するにあたり権利利益を侵害するおそれがないことを説明する責任があります。その為には本人が直接知りうる状況ないしは同等の周知の徹底が必要ですが、そのようになされているとはいえません。

2月7日の個人情報審議会目的外使用等部会の審議において、最後のところで部会長が「提供を望まない方について、きちんとした措置を講じることも求めるということだが、よろしいか。」と発言すると委員の一人から「条件として加えるということか」と確認する質問が出され、部会長は「そうである」と回答しています。この部会でのやりとりを見ると、答申が求める措置は単なる要望ではなく、名簿提供の条件と解されます。市は誠実に履行する責務があります。

2016年7月に南スーダン・ジュバに派遣された陸上自衛隊は南スーダン政府軍と反政府軍との戦闘に巻き込まれる寸前でした。ジュバに派遣された自衛官は家族に遺書を書いて日本を発ちました。2001年から2010年までイラク・アフガン戦争の時に米軍支援で派遣された自衛官のうち、帰国後に自殺した自衛官は56人にのぼっています。先日5月10日佐世保港から護衛艦「きりさめ」が2月に派遣された護衛官「たかなみ」の交替のため、緊張が高まる中東に派遣されました。2014年4月日米新ガイドラインに改訂され、2015年9月に戦争法が強行採決されたことで、米軍の作戦支援のために海外の紛争地へ派遣されるようになり、自衛隊は災害救助だけではなく戦闘行為による生命の危険を伴う現状があります。この様な自衛隊に名簿提供することの意味を考えたとき、名簿提供は市民を戦場に送ることに繋がることは明らかです。これは地方自治の本旨である「住民の福祉の増進を図る」ことに反する行為です。福岡市は自衛隊の現状を説明し、該当市民の権利利益の侵害にならないことを説明すべきですが、出来ているとは考えられません。

また、全国の他都市の状況を見ても名簿提供が少なく、提供しない理由に自衛官募集のために該当市民の名簿提供をする法的根拠が明確ではないことを挙げています。業務従事者募集である自衛官募集のために名簿提供することの公益性よりも個人情報保護の公益性が大きいと判断しているからです。まして事務的業務負担軽減の公益性が個人情報保護の公益性よりも重いとはとんでもない発想です。

そもそも、業務従事者募集のために名簿を提供することは「福岡市個人情報保護条例第10条第2項第6号の「公益上の必要性」に該当するとは考えられません。「個人情報の公益上の取扱いに関する基準」における「類型3  保有個人情報の目的外での利用又は提供(条例第10条第2項第6号)」の「b 実施機関以外の者への提供」の規定をみると、個人情報の提供が業務従事者募集に必要不可欠ではないうえ該当しません。福岡市の人権感覚が問われています。

さらに、新型コロナウイルス感染症による大学および小中高校の休校が3月2日より実施されており、4月7日には緊急事態宣言が発出され、福岡県は特定警戒都道府県に指定されています。緊急事態宣言が5月15日午前零時に解除されましたが、解除後直ちに従前の状況に戻るとは考えられません。大学や高校に配布されたポスターはたった1枚であるうえ事実上周知に全く役立っていません。このような状況で自衛隊に該当市民の名簿を提供することは、答申の趣旨に反すると共に法に反し人権侵害に当たると考えます。新型コロナウイルス感染症対策に集中すべき時に不要不急の業務はやめるべきです。

以上のことから、市長は自衛官募集のために18歳および22歳の市民の名簿を自衛隊に提供することをやめることを求めます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2020年5月15日

福岡市個人情報保護審議会 会長 村上 裕章様
福岡市個人情報保護審議会 委員各位

緑と市民ネットワークの会
荒木 龍昇
森 あやこ

福岡市が自衛隊への該当市民の名簿を提供することを
中止するよう意見を出してください

 貴個人情報保護審議会におかれましては、福岡市民の権利擁護にご尽力なされていますことに感謝いたします。

去る1月31日付けで、福岡市は貴審議会へ自衛官等募集事務に利用することを目的として住民基本台帳記載事項を自衛隊に提供する旨の「個人情報の公益上の取り扱いについて」諮問しました。これを受け個人情報保護審議会目的外利用等審査部会が2月7日に開催され、2月14日に貴審議会は答申されました。

答申では、「自衛官等募集事務に利用することを目的として、自衛隊に提供することについては,公益上の必要性が認められるものと判断する。」とし、「自衛隊による個人情報の取扱いに不安を感じる市民や自己の個人情報の提供を望まない市民の心情にも配慮する必要があることを十分認識し、以下の措置を講じられるよう要望する。」として以下の措置を求めています。

(1)個人情報を提供する際の媒体は紙のみとし、提供する情報は、適齢者の「氏名」及び「住所」に限ること。

(2)提供する情報の取扱いについては、目的外利用の禁止等の情報管理の徹底及び事務終了後の確実な廃棄並びにこれらの実施状況に関する報告を書面で求めるなど、個人情報保護の観点から厳格な措置を講じること。

(3)毎年度、情報の提供に先立って、公益上の必要性に関する説明を含めた市民への周知を行い、自己の情報を提供してほしくない旨の意思表示を行った市民については、提供する情報から除外する措置を講じること。

(4)毎年度、自衛隊に個人情報を提供したことについて、公表を行うこと。

福岡市は答申を受け、自衛隊に18歳、22歳の市民の「氏名」「住所」の2情報を紙媒体で提供することを決め、4月1日から6月1日まで名簿の提供を望まない市民の申し出を受けるとして広報しました。福岡市議会では周知を図るためにダイレクトメールを該当市民に郵送することを求めましたが、福岡市は拒否しています。市が周知の手段として実施した措置は、市政だより1回、福岡市ホームページ掲載および福岡市公式ツイッターで告知、各高校・大学にポスター1枚の掲示とチラシを若干枚配布、というものです。

福岡市が執っている措置は、答申が求めた措置(3)に反しているのではないかと考えます。福岡市の措置が個人情報保護法、行政機関個人情報保護法、福岡市個人情報保護条例で謳われている原則個人情報の目的外利用を厳しく禁じている趣旨を踏まえているとは考えられません。原則目的外利用禁止の趣旨から、「実施機関以外の者」に情報提供するに当たっては、個人情報保護法のガイドラインが示す「「本人へ通知」とは、本人に直接知らしめることをいい、事実の性質および個人情報の取り扱い状況に応じて、内容が本人に認識される合理的かつ適切な方法によらなければならない。」に準ずるべきです。また、個人情報保護法第8条および福岡市個人情報保護条例第10条では「本人又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められる場合は」個人情報の提供を禁じており、福岡市は該当する市民に自衛隊に個人情報を提供するにあたり権利利益を侵害するおそれがないことを説明する責任があり、周知の徹底が必要ですがなされているとはいえません。

さらに、新型コロナウイルス感染症による大学および小中高校の休校が3月2日より実施されており、4月7日には緊急事態宣言が発出され、福岡県は特定警戒都道府県に指定されています。緊急事態宣言が5月半ばに解除される見込みですが、解除後直ちに従前の状況に戻るとは考えられません。大学や高校に配布されたポスターはたった1枚であるうえ事実上周知に全く役立っていません。このような状況で自衛隊に該当市民の名簿を提供することは、答申の趣旨に反すると共に法に反し人権侵害に当たると考えます。

そもそも、業務従事者募集のために名簿を提供することは「福岡市個人情報保護条例第10条第2項第6号の「公益上の必要性」に該当するとは考えられません。「個人情報の公益上の取扱いに関する基準」における「類型3 保有個人情報の目的外での利用又は提供(条例第10条第2項第6号)」の「b 実施機関以外の者への提供」の規定をみると、個人情報の提供が業務従事者募集に必要不可欠でないうえ該当しないと考えるからです。

緑と市民ネットワークの会は、貴審議会において福岡市の措置が答申に誠実に応えているのか、特に答申が求めた周知がしっかりとなされているのかを検討され、もし市の措置が不十分だと判断するのであれば、自衛隊への該当市民の名簿を提供することを中止するよう意見を出していただくことを要請いたします。

LINEで送る

新型コロナウイルス感染症対策に関する申し入れ(第3次)

本日、市長宛および教育長宛に申し入れ(第3次)を行いました。

 

*************************************

2020年5月12日

福岡市長 髙島宗一郎様

緑と市民ネットワークの会
荒木 龍昇
森 あやこ

新型コロナウイルス感染症対策に関する申し入れ(第3次)

  新型コロナウイルス感染症対策として4月7日に緊急事態宣言が発出され、当初の解除の目安は5月6日でしたが解除とならず、当面5月31日まで継続となっています。政府は5月14日に今後の解除の見通しや解除後の方向性を明らかにするとしています。この間、感染拡大防止のために住民の外出自粛と事業活動の休止ないし営業時間短縮等が求められ、市民や事業者は協力をしてきました。同時に、医療関係者、介護事業関係者、保育や学童保育などの関係者が感染リスクと向き合い奮闘されています。この様な感染拡大防止に応えるべく国・県の様々な支援施策が出されました。国・県の支援でカバーできない部分を補う市独自の施策が出されたこと、また市職員および関係者の皆さんのご尽力に、私たち緑と市民ネットワークの会として敬意を表します。

しかし、仮に解除されても直ちに従前の状況には戻りません。また第2波、3波の感染もあると言われています。現在打ち出されている市民の命と暮らしを守り事業継続ができるようにする支援施策がより有効に働くとともに、長期的な対応について説明がなされるよう以下申し入れをします。

1、出口戦略を持ち、市民に説明をすること

1)PCR検査等の拡充について
安倍首相は5月14日に政府専門家会議の意見を聞いて今後の解除についての判断を示すとしています。ところが、国の専門家会議の委員からはPCR検査数が十分でないため判断が難しい旨が発言され、検査拡充の必要性が指摘されています。厚生労働省はこれまでのPCR検査受診の指針が「誤解であった」などと不謹慎な発言をしていますが、政府の検査抑制が実態を十分把握できず感染を広げてきたと言えます。国でも検査指針を変更しPCR検査を増やすとしていますが、福岡市においても「誤解」とされた政府の指針の下で検査を抑制してきたために感染実態が十分把握できているのか疑義を持つところです。福岡市医師会の協力を得てPCR検査の拡充が行われることとなりましたが、より迅速に検査ができるよう人員、施設・設備等の拡充を求めます。人的拡充については、医師や看護師、検査技師などの免許を有する休眠資格者に協力を依頼することなどを求めます。また、抗原・抗体検査も導入されるとのことですので活用し、感染状況を把握して下さい。

 2)より正確な感染状況の把握と解除および解除後の施策を作り、市民に説明すること
 市民や事業者は緊急事態措置の解除がいつになるのか見通しがないことに大きな不安を持っています。また、解除後も段階的な措置が求められます。より正確な感染実態を把握し、市として解除の見通しをもって県と協議を求めます。また、解除後の生活や事業活動の措置、および学校教育の在り方について説明することが求めます。

 3)第2波、第3波に向けて感染予防対策の措置を維持・強化すること
 ワクチンが開発されるまでの間は感染状況の把握と対処措置が継続されることが必要と考えます。また、第2波、第3波もあり得るとも言われています。その為に福岡市医師会と協力し、検査体制の維持及び隔離等対処措置の維持を検討する必要があります。また同時に医療関係者や介護関係者の感染予防機材等や人的な支援措置の継続が必要と考えます。国および県に対しての支援措置を求めると共に、市独自の対応を求めます。

 4)支援の在り方について現場の声を聞いて見直すこと
福岡市独自の医療機関、介護施設、保育等に対する支援措置については感謝するところですが、制度設計をするときに関係者の声を聞いたのか疑義があります。とりわけベッド数19床以下の有床診療所について区分が設けられていないことなどの指摘があります。有床診療所は地域での包括ケアシステムの一翼を担う医療機関として重要な存在でもあります。迅速な措置が求められているにしても、限られた資源でより有効な支援となるためには関係者の声を聞くことが重要ではないかと考えます。今後とも様々な医療機関の支援が必要となることを鑑みると、関係者の意見の聴取を行い、制度の手直しの検討が必要と考えます。
また、介護や保育の現場においても関係者の声を聞いて制度設計するよう求めます。

 2、支援措置が速やかに実施されるよう措置すること

 様々な支援措置が実施されますが、最も大事なことは必要としている人に速やかに届くことです。その為には、周知の徹底と手続きの簡素化が必要です。
福岡市は相談窓口の案内などは市政だよりやホームページに掲載していますが、市政だより5/15号では「休業要請に協力した事業者への支援」と「医療や介護、保育の従事者等への支援」に関する市独自施策の案内は記載されていますが、生活支援に関する記載がありません。たとえば、
・住宅の相談(住宅確保給付金の対象が緩和されている)や市営住宅の提供
・新型コロナウイルス感染による休業について国民健康保険の傷病手当が出ること
・10万円の特別給付は無戸籍者、ホームレス、DV被害者や虐待を受けて避難している住民の手続きが現居住地で直接できること
・市税や各種保険料、水道料金等の支払いに関する相談(5/1号には掲載していたが、5/15号には未掲載)
などの記載がなく不十分です。多様なメニューが用意されている支援制度をより周知をするためにポスターなどを作成して区役所、公民館や地下鉄などで掲示することを求めます。
また、厚生労働省から新型コロナウイルス感染症対策として生活困窮者自立支援法や生活保護について、制度の運用を緩和する旨地方自治体に事務連絡がなされています。福岡市として相談窓口および支援員の増員を行い、必要としている住民に寄り添った支援を求めます。

3、医療関係者、介護関係者やライフライン等従事者や必要な市民が安心して仕事ができるようにすること

保育従事者の負担軽減のために可能な方にはできるだけ自宅での保育をお願いしています。ところが必要な市民が利用できない状況が多々出ています。保育等の利用を理由無く拒否すること、また感染のおそれをもって利用を拒否することは感染者に対する差別です。感染のリスクに直面する厳しい状況で、必要な人に必要なサービスを提供するために支え合うことで「コロナ危機」を乗り越える必要があり、保育等事業者に指導を求めます。
また、介護や保育の現場などに拡大感染防止のために必要なマスクや消毒液等の充足や、PCR等の検査を実施し、安心して受け入れが出来るよう措置することを求めます。

*************************************

2020年5月12日

福岡市教育委員会 教育長 星子明夫様

緑と市民ネットワークの会
荒木 龍昇
森 あやこ

新型コロナウイルス感染症対策に関する申し入れ(第3次)

  新型コロナウイルス感染症対策として4月7日に緊急事態宣言が発出され、当初の解除の目安は5月6日でしたが解除とならず、当面5月31日まで継続となっています。政府は5月14日に今後の解除の見通しや解除後の方向性を明らかにするとしています。教育委員会には長期に亘る休校措置で児童・生徒は入学式および始業式が無いまま新学年を迎え、不安な日々を送っていることについて教育委員会におかれましても十分承知されていることと思います。学力保障としてテレビによる授業が始まり、教育委員会としての尽力には感謝いたします。しかし、子どもの権利条約で謳われている「生きる権利」、「育つ権利」、「守られる権利」、「参加する権利」が保障されているとは言えません。私たち緑と市民ネットワークの会は、学力の保障と子どもの心身が健全に維持されために以下の申し入れを重ねて行います。

1、福岡市のPCR検査拡充による感染実態を踏まえて、教育委員会として出来るだけ早い時期に緊急事態措置の解除の見通しと解除までの教育委員会の措置および解除後の方針について児童・生徒および保護者に説明して下さい。

2、解除後も感染症予防対策を継続する必要があり、教室の使い方の工夫や教員等の増員が必要です。また、児童・生徒もこれまでと異なる1年を過ごすことになることから、出来るだけ一人ひとりに寄り添った対応が求められます。大幅な教員等の増員を行い、子どもの育つ権利を保障することを求めます。

3、教師が家庭訪問できない上、電話での連絡も十分なされていないと言う声を聞く状況で、子どもの安否確認はできているのか疑問を持たざるを得ません。速やかに児童・生徒の安否確認を実施して下さい。

4、学力保障のためにテレビ授業を開始したことは評価します。しかし、ネット環境だけではなくテレビ授業に参加するための環境がない児童・生徒も居ると聞きます。安否確認をかねてできるだけ早い時期に分散登校を実施し、入学式や始業式を行って下さい。また、学習保障のために必要な児童・生徒に学校を開放して支援して下さい。

5、学校給食がない上に多くの子ども食堂も閉鎖されている状況で、十分食事がとれていない児童・生徒が居ると思われます。食事が十分とれていない児童・生徒や保護者の負担軽減のため、パンや牛乳など調理しなくても良い簡素な学校給食を提供して下さい。

6、休校継続中は、児童の健全な生活を維持するために、監視員を配置して校庭を開放して下さい。

LINEで送る

コロナ関連の補正予算案に賛成しました

本日5/1(金)、補正予算案などの議案について討論と採決が行われました。
今回の補正予算だけでは不十分だと考え予算組み替え動議にも賛成しましたが、組み替えについては賛成少数で否決されました。
予算案の原案にも私たちは賛成をしたうえで、討論の中で意見を述べました。
今回上程されていた議案はすべて可決されました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

賛成討論原稿

荒木 龍昇

私は緑と市民ネットワークの会を代表して、今臨時議会に上程された議案第114号令和2年度福岡市一般会計補正予算案(第1号)、議案第117号令和2年度福岡市一般会計補正予算案(第2号)および議案第114号令和2年度福岡市一般会計補正予算案(第1号)の組み替えを求める動議(案)に賛成し討論します。

議案第114号令和2年度福岡市一般会計補正予算案(第1号)、議案第117号令和2年度福岡市一般会計補正予算案(第2号)は議案質疑において指摘しましたように課題が多く残されているものの、コロナ危機対策実施が急がれており、支援が速やかに行われることが求められていることから、議案第114号及び議案第117号両補正予算案に賛成するものです。

また、以下の理由から議案第114号令和2年度福岡市一般会計補正予算案(第1号)の組み替えを求める動議(案)に賛成するものです。

新型コロナウイルス感染症は今もパンデミックの状態にあり、日本においても感染拡大は続いています。ドイツでは早期の検査体制の強化で死亡が抑制され、台湾や韓国でも感染拡大の初期に徹底した検査体制を取ることで成果を上げています。しかし、我が国では経済優先、オリンピック優先のためにPCR検査を抑制してきたことでコロナ危機が拡大しました。安倍首相は根拠もなく3月2日から春休みまで全国一斉休校を要請し大混乱を引き起こしました。他方、国は医療崩壊を理由にPCR検査を抑制してきたため、検査数が少なく感染実態が把握できていませんでした。その為、無症状者や軽症者が一般外来での受診や救急搬送などで院内感染を起こし、介護施設での感染を広げたことの原因の一つとなっています。早急に発熱外来の設置やドライブスルー検査などPCR検査を拡充して感染実態を把握し、無症状者および軽症者を隔離し、感染者受け入れ医療機関への支援の充実、および介護施設と従事者の支援が急がれていました。

2月から感染防止のため、公共施設の閉鎖や外出の自粛を求められていましたが、安倍首相は感染拡大防止策を強化するとして3月13日に新型インフルエンザ特別措置法が改正しました。首相は感染拡大防止のために緊急事態宣言を発出し、指定地区の住民および事業者に外出の抑制と事業活動の休止等を求めることができるようになりました。4月7日に7都府県に緊急事態宣言が発出され、福岡県も指定区域となりました。更に4月17日には全国を緊急事態宣言地区に指定しました。3月2日の全国一斉休校要請以来こどもの学習保障や生活の維持、市民の雇用不安や収入の減少、事業者等の事業継続の危機が問題となっていましたが、緊急事態宣言の発出によってより深刻となりました。

4月27日に安倍首相はコロナ対策の補正予算案を国会に上程しました。迷走した結果すべての国民および在留資格がある外国人に所得に関係なく1人一律10万円を給付することになりました。ところが、4月27日に国会に上程された補正予算案は総額25兆5千億円余のうち1兆7千億円ほどが感染収束後のV字回復のためのGOTOキャンペーン費となっており、医療関係の支援は7千億円程度、これでいのちを守る補正予算となっているのか疑問を持たざるを得ません。

他方、沖縄ではコロナ危機対策に全力を挙げているこの時期に、国は辺野古基地建設の設計変更を沖縄県に提出しました。県民の意思は新基地建設反対である上、沖縄県の見積もりでは2.4兆円かかり、しかも軟弱地盤で完成できないとも言われるしろものです。またトランプ大統領の言い値でF35を147機購入、1機116億円と言われていますが、整備費を入れると総額6.2兆円とも言われています。山口と秋田に配備しようとしているイージスアショアは2兆円、護衛艦かがやいずもを空母にするなど中期防衛計画では5年間で27兆5千億円ほどが計画されています。税金をこの様な不要なものに使うべきではありません。市長は国に不要不急のGO TOキャンペーン、辺野古新基地建設やF35購入などの防衛費の支出はやめて、新型コロナウイルス感染症対策の拡充に使うよう求めるべきです。

福岡市補正予算案をみたとき、福岡市としてできることが十分なされていると言えるのか、また中長期的視点で考えられているのか疑問があります。国の補正予算を受けて31億円余が財政調整基金に戻されていますが、コロナ対策事業の拡充に使うべきです。感染の実態は不明であることが院内感染や施設での感染の拡大に繋がっています。検査体制の拡充と医療用マスクや防護服などの機材の充足が急がれています。また、感染拡大を防ぐために外出の自粛と様々なイベントや事業活動の制限や休止が求められ、その保障が必要です。災害時において必要なときに必要なものが必要な人に届くことが重要です。生活困窮者の支援や事業継続の支援など様々な支援制度ができていますが、制度を利用するためには制度の周知と相談・支援体制の整備が必要であり、マンパワーが足りていません。

また、芸術・文化分野で活動されている支援も十分とは言えません。文化・芸術の火を絶やさないために、休業補償等の支援強化が必要です。危機だからこそ、全ての事業が事業継続できるよう支援強化し、こどもの権利を保障すること、貧困率が5割を超える1人親家庭や就学援助対象家庭の支援、生活保護世帯に対する上下水道の無償化、困窮する学生の支援などを拡充すべきです。交付金の31億円は財政調整基金に戻さず活用すべきです。

新型コロナウイルスの治療薬の開発やワクチンの開発にはまだ時間がかかると言われていることや、スペイン風邪のパンデミックが起こったときは2波、3波の感染があり、収束するのに3年かかったと言われています。緊急事態宣言の指定期間は5月6日までとなっていましたが、本日1ヶ月程度延長するとされました。コロナ危機は長期に及ぶと考えられ、リーマンショックを超え戦後最悪の不況になるとの見方も出ています。福岡市においても今後経済は低迷し、税収は激減し、同時に多額の対策費が必要となります。その為に、中央埠頭の再開発や人工島事業など不要不急の事業をやめ、中長期的視点に立って、全般的な事業の見直しと大胆な予算の組み替えを検討すべきです。まずは感染収束に向けてPCR検査の拡充と医療崩壊、介護崩壊の防止対策、市民の生活の安定と事業活動の継続ができるよう支援することに全力上げることが必要です。地方創生臨時交付金の使途については公務員の危険手当にも使えるなど制約がないとされており、財政調整基金の取り崩し額105億円に加え、地方創生臨時交付金35億円全額を市独自事業の拡充に使うべきです。

以上の理由から議案第114号令和2年度福岡市一般会計補正予算案(第1号)の組み替えを求める動議(案)に賛成するものです。

最後に、昨日の森議員の質疑において市独自の支援策の対象には助産院は含まれていないと答弁していました。国は助産院を医療機関として認定しており、市独自の支援策の対象にするよう求めます。

以上で討論を終わります。

LINEで送る