月別アーカイブ: 2016年10月

高齢化社会に対応する交通システムの確立を!

●「移動の自由」は 基本的人権 です

人が自由に移動できることは基本的人権です。しかし実際には、さまざまな障がいや高齢により身体的な制約を受け、自由に移動ができない人たちがいます。

福岡市は「ユニバーサル都市」を標榜していますが、早良区南部ではバス路線の廃止、減便がなされており、このうえ高齢化が進むと、バス停まで歩いていくことや自家用車の運転自体が難しくなり、移動がもっと厳しくなります。暮らしの質を維持・向上させるために、市として市民の「移動の自由」を守るための施策が必要です。

●このままで超高齢化社会に対応できるのでしょうか?

福岡市は平成22年に「生活交通条例」を制定しましたが、高齢化などの地域の実情が考慮されていないなど、本当に困っている地域をしっかり支援できていません。

今年2月の「福岡市高齢者・障がい者に対する移動支援のあり方検討委員会」による提言では、高齢者・障がい者ともに買物や通院の外出が多く、高齢者ほど公共交通機関を利用しているが、バス停までの距離が苦になっていると分析されています。

市は、これをもとに「地域との協働による移動支援モデル事業」の実験を始めます。地域団体等へ車両を貸し出し、高齢者の日常の買い物などの支援を社会福祉協議会へ委託し実施するものです(市政だより9月1日号に掲載)。移動支援のあり方の方向性はよいですが、ボランティアを軸とした移動支援が持続可能なシステムになり得るのか、私は疑問を持っています。

●福岡市でも「ドアtoドア」の交通システムの導入を!

八女市では登録制の乗り合いタクシーによる「ドアtoドア」のシステムを運用しています。通常のタクシーのように、自宅など利用者が指定する場所にタクシーが迎えに行き目的地まで送りますが、それを「乗り合い」で行うことで、低料金で乗ることができます。

私は、持続可能な移動支援のシステムとして、八女市のように登録制の乗り合いタクシーを日常生活圏に限定し運用する、デマンド型の「ドアtoドア」のシステムが望ましいと考えます。

登録制にすることで運転手や電話オペレーターは利用者の生活状況が把握でき、介護との連携を図ることも可能です。使用する車両はワンボックスカーだけではなくセダンタイプのタクシーを活用すれば、障がい者も利用できるようになり、また、利用者3名であればコースを組むことも難しくはないはずです。

早良区南部地区のタクシー事業者が協働すれば、「ドアtoドア」のデマンド型乗り合いタクシーのシステムの導入が可能と考え、福岡市としても検討を始めるよう議会で提案しました。

※デマンド交通・・・予約を受けて運行する交通方式。(1)予約があったときだけ定期路線を運行する、(2)予約に応じてコースを組み替える、(3)指定エリア内でドアtoドアで運行する、などの種類があります。

(荒木龍昇)

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2015年度決算 ~私たちの生活は、良くなっているか?~

市民一人あたりの借金は158万円、福岡市の2兆3800億円の借金は、財政健全化が進み少しずつ減っていますが、PFI事業などによって、将来にわたって負担し続けることになる「債務負担行為」は増えています(※1)。

市税収や固定資産税は増えているものの、歳入全体はそこまで伸びていません。市税などの徴収率の向上や行財政改革の取り組み(※2)によって、2013年からの4年間で490億円の財源を確保する見通しですが、それは本当に私たち市民の「生活の質の向上」に繋がっているでしょうか?

髙島市長はその財源の多くを「都市の成長」のために使い、破綻が明らかな人工島に多額の税金を投資し続けています(※3)。しかし福岡市が基本計画に揚げる「「生活の質の向上」と「都市の成長」の好循環」は、実際には起こっていません。

 

※1 PFI事業はリースやローンに例えられます。一括払いよりもリースやローンのほうが負担の総額が多くなります。

※2 行財政改革として「市立幼稚園の全園廃止」「生活保護世帯の下水道料金減免の廃止」「図書館等駐車場の有料化」など113項目にわたって事業の見直し・廃止を行っています。

※3 人工島へ「住宅市街地総合整備事業(約234億円(市が半額負担))」「立地交付金(約240億円(市が全額負担))」「中央公園整備費(約192億円)」「こども病院用地(約45億円)」「青果市場整備費(約363億円)」「総合体育館用地(約48億円)」などを投資。今後も道路や上下水道の整備、野鳥公園整備があり、毎年100億円程度が使われる予定です。髙島市長の5年間で、住宅市街地総合整備事業の83.6%、立地交付金の73.7%が人工島に投じられています。

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政治にも、女性ならではの視点が重要! ~声を上げてきた成果が形に

第5委員会は水道局・道路下水道局・環境局を所管していますが、土木関係の内容が多く、これまで女性の視点がほとんど反映されてきませんでした。私は子育てや看病介護をしてきた経験をもとに、いのちあるものを育みつなぐ“水”の大切さや大気汚染の影響、また生活道路の安全面の充実などのために意見や要望を訴えてきました。

今年度策定される長期ビジョンなどの素案・原案には私の提案も盛り込まれています。例えば水道の配水管の改修・更新が毎年40km(全長の約1%。全改修に100年かかる計算)しかできていなかったのが、45kmに伸びました。これにより7~8億円の予算増にはなりますが、ダムをつくるよりも、漏水のリスクへの備えのほうが重要ではないでしょうか。市民のいのちをつなぐ水の供給がいかに重要であるかを訴えてきた成果が形になりました。

(森あや子)

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実効性のある原子力防災計画を! ~事故が起こってからでは遅いのです

原発事故の場合、避難指示は基本、国の判断によりますが、法律上は市町村長も独自の判断で避難指示等を出せます。原発事故の後、福島県の浪江町や南相馬市は独自で判断できるよう決定しています。玄海原発に近い本市も独自の備えを万全にすべきであり、議会で以下のような対策を求めました。

 

(1)▼学校や幼稚園、保育園などにおいて、保護者への引き渡し方法など、日ごろから訓練などの対策をすべきです。▼市は「避難計画の策定が義務づけられている地域ではない」と言っていますが、社会福祉施設についても対策が必要です。

(2)▼避難所となる小中学校について、水や食糧の配備拡充。▼体育館にトイレがない学校は整備を急ぐとともに、バリアフリートイレやマンホールトイレの整備も必要です。

(3)▼計画では「直ちに安定ヨウ素剤を服用できるよう備蓄を行う」となっていますが、現在の備蓄・配布体制では直ちに服用できません。事前配布・分散備蓄・予備備蓄の対策が必要です。茨城県ひたちなか市は、独自の「薬局配布方式」で事前配布しています。▼福岡市は原発から37km~60km。約40万人分しか備蓄していませんが、ベルギーでは100km圏内の全住民へ配布しています。▼国は3歳未満の乳幼児用にゼリー状のヨウ素剤の配備を始めており、福岡市でも配備すべきです。

 

原子力災害に対する防災知識や日ごろからの備えが大事です。市も防災訓練や啓発活動などを行っていますが、もっと危機感を持って取り組むべきです。たとえば安定ヨウ素剤について、福島で実際に配布・服用ができたのは三春町だけです。認識すること、現実を見ること、正しい情報を持つことが、危険を回避し被害をより小さくすることにつながります。防災計画を真の実効性ある災害対策にしないといけません。そして何より、原発に頼らない社会の実現が必要です。

(森あや子)

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