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再議第1号「議案第107号に関する議決の再議について」賛成討論

私は、緑と市民ネットワークの会を代表し再議第1号「議案第107号に関する議決の再議について」賛成し討論いたします。

私たちは、2月議会で空港の出資に関わる議案が出されてから、一貫して市民の利益を守るためにどうするべきかとの視点で検討を続けてきました。3月に入り、あらためて議会での審議の様子を市民へお伝えしながら、様々な意見を伺ってまわりました。出資の是非に対し、どちらにも賛成しがたいとの公平な立場を保ちながら、市民の方々の意見を伺う中で、出資を望む声がとても多いことを実感しました。また、3月27日の私ども会派の意見開陳で述べた、「問題提起」として退席したことへの反応としても、市内はもとより、市外の空港周辺地域の方々からも、新会社への出資を望む想いが多く寄せられました。たとえ少ない額であっても株主としての責任が発生します。その責任の担保を民意は望み求めています。このような経緯を経て、本議案については、賛成し意見を述べて参ります。

去る3月28日の本会議において修正提案された「活力ある福岡空港づくり基金条例案」に対して私たち、緑と市民ネットワークの会は、市長の出資は必要ないとの主張及び出資をすべきとの条例案についてともに疑義があり、いずれの立場も支持をしないという旨を討論において述べ、苦渋の判断として退席し棄権しました。採決の結果は、賛成39人,反対20人となり、議会としての意思が決定されたものでした。これは過半数の僅差ではなく、3分の2の議員が出資をすべきという答えを出したことになります。この数字は、たとえ再議をしても条例案が可決することは明らかでした。28日の討論で、私は「採決で出された議会の総意を、重く重く受け止めていただきたい」と述べました。

地方政治は市長と議会の二元代表制であり、議員は市民の付託を得て議会を構成しています。議会の判断が僅差ではないにもにもかかわらず、市長が再議に掛けることは、議会の意思を無視することと同じです。61年振りの再議と言われていますが、その時の再議は、手続き上の問題があったために行われたものです。今回の市長が再議に附し議会の意思を無視したことには、市民から付託を受けた議会人として抗議をいたします。

私たちはそもそも福岡空港の「運営権譲渡」については反対をしてきました。その理由の一つは、福岡―羽田便をメインする国内路線が約8割を占める福岡空港は、超高齢社会を迎え今後需要増が続くとは考えられず、仮に容量不足になっても北九州空港と連携すれば福岡空港の滑走路の増設は必要がないと考えています。超高齢社会、人口減少社会を迎え日本経済は縮小していきます。国の借金は2016年12月時点で長期債務及び短期借入を併せて1067兆円となっており、これ以上ムダな投資をすべきではありません。全国に92の空港を認めてきた無秩序な空港政策の上、更に運営権譲渡で過剰な競争を創り出し、勝ち組・負け組を生み出し、更なるムダを増やすことになります。福岡空港の滑走路増設は必要ないとの見解です。

二つ目は、運営権を譲渡するコンセッション方式は、投資した企業は利益を得ますが国民に負担を求める構造にあることです。国は運営委託と言っていますが、いわゆる委託とは大きく異なり、運営権譲渡は特別目的会社が施設を借り受けて経営するものです。福岡空港の場合は空港の管制以外の滑走路の維持管理、航路誘致、空港使用料の決定、空港ビルや駐車場の経営全てを行います。2014年11月に市長及び知事名で国に出した意見書では、運営権譲渡の条件として、福岡空港の借地料年間82億円を国が負担することを求めており、そのようになっています。国の負担とは、税金による国民負担です。本来施設を利用して利益を得るのなら、施設の維持管理に必要な経費は経営する事業者が負担すべきです。市長は「民に出来ることは民に」と言っていますが、その意味は不採算部門が市民負担・国民負担であっても、投資会社が利益を得ればその恩恵がやがて市民に行き渡るというトリクルダウンが起こるからコンセッション方式がよいと言っているようなことです。私たちはこの様な考えには賛同できません。弱肉強食の競争を生み出す運営権譲渡・コンセッション方式を進めることは止めて、国が全国的な視野で均衡ある航空政策を進めるべきなのです。

また、これまでの経緯を振り返った時、運営権譲渡についての議論や運営権譲渡後の新会社への出資について、重要な案件として議会での議論が、もっと早い時期から十分になされることが重要だったと考えます。また議会の意思がどの様にくみ取られたのか、疑問があります。意思決定していくためのプロセスはとても重要です。

この間の質疑において、福岡空港の運営権譲渡のスキームに関する中間報告において、自治体から派遣できる非常勤役員の数が1ないし2名と記されていたことについて、港湾空港局長は、国は当初から自治体から派遣できる非常勤役員の数は1名であったが、中間報告作成時に1ないし2名にするよう国にお願いしたのであって、自治体から派遣できる非常勤役員は1名と繰り返し答えています。この答弁から読み取れることは、2014年11月に国に意見書を出した時点から既に高島市長は新会社に出資しないと国に伝えていたのではないかと思わざるを得ません。

昨年10月の第三委員会において、福岡市が新会社に出資しない考えを報告していますが、議案でないことから議会に報告だけを行い、議会の審議を経ず国に出資しない旨を伝えています。新会社への出資について、重要な案件にもかかわらず議会に審議すべきものとして扱うことなく、2月議会において福岡空港ビルディング株式会社の株の譲渡益に関する処分案として議案に挙げたことは、市長が議会を軽視したと批判されるに十分な理由といえます。

次に、現時点の議論は運営権譲渡を前提としたものになっています。この様な状況において市民にとって何がよりよい選択なのかということです。成田空港では使用している航空会社に販売促進費を出すなど航路誘致競争が始まっており、不採算部門である空港周辺対策が新会社の本来業務として履行されるのかという懸念があります。福岡空港の運営権が譲渡される新会社は、投資を集めるために利益率を確定して出資を集め、利益確保が最重点になります。法定協議会で新会社と自治体との協議の場が持たれることになっていますが、多くの議員がこれまで指摘してきたように、あくまでも協議の場であり、尊重義務はあっても履行責任の担保は確実ではないと考えます。空港周辺整備は基本的には市が責任を持つことが前提ですが、収益事業を行う新会社は応分の責任を果たすことが求められます。新会社に応分の責任を履行させる為には、出資して内部からの監視が必要ではないでしょうか。そして、その財源は不用額となっている7億8千万円の枠内で行えば、市民に負担を掛けずに行えます。

市長は、運営会社への出資はメリットがなく、大切な税金は子育てや環境対策に使っていきたいと述べています。しかし、これまでどのような市政運営がなされてきたかといえば、市長は人工島の土地処分のために立地交付金や住宅市街地総合整備事業補助金に多額の一般財源を使ってきているのです。また、子どもの貧困問題が社会的な課題になっているにもかかわらず就学援助の対象者を削減しました。保育園への補助金5億円について予算化されていたにもかかわらず制度変更を理由に執行しませんでした。これらの事実を見ても、市民のために優先的に税金を使ってきたかのような主張は当たりません。福岡空港ビルディング株式会社の株の譲渡益は、既に子ども未来基金に30億円、スポーツ振興基金に20億円、その他学校施設整備や災害対策の公的備蓄などに支出が決まっています。空港周辺の環境対策等は、航空機燃料譲与税の活用で行えることが、これまでの質疑の中で明らかにされています。出資については、空港未来基金に充てる予定だった不用額となっている7億8千万円の枠内で検討すればよいのです。この7億8千万円は福岡空港ビルディング株式会社に出資していた額と同額であることから、新会社への出資が市民に不利益をもたらすものだと、市長がことさら主張することは市民を欺くようなものです。

予算を決めることは、市民が納めた大切な税金の使い道を決めることです。良いことに使うにしても、税金を納めた市民の納得を得なくてはいけません。納得を得るために、その市民の意見を聞き審議を重ねるのが議会です。今回のような議会無視は市民の声を無視することに他ならず、決して許されるものではありません。議会は、福岡市の将来を決めていくために審議を行う大事な機関です。

市当局の、二元代表制に則ったガラス張りの市政運営、そして公平かつフェアな進め方で議会に諮っていくことを、市民は強く望んでいます。

出資の是非について、出資する場合は予算を伴うため議決が必要となりますが、出資しない場合は議案に掛けず報告で済ませることが出来ます。しかし、今回の福岡空港の運営権が譲渡される新会社に出資するか否かは、福岡空港が位置する福岡市民にとって非常に重要な案件であり、出資の是非に関する意見を議会に求める責務が市長にあると考えます。今更、福岡市として出資を申し出ても入札などが遅れるなど大変難しいと言われますが、この間市長が議会に対して誠実に対応してこなかったことが招いた事態です

私たちは改めて表明します。3月28日の議案第107号の採決結果についての市長の再議という判断、これは、本当に正しいことだったのでしょうか。再議に掛けて力ずくで結果を変えようとする姿勢は市のトップとしてするべきではありません。昨日から日付を超えて行われた、第三常任委員会の出席要請に対する対応でも、自ら再議を附したにもかかわらず、その審議に応じないのは、正に議会無視そのものです。一連のこの状況は、市民の信頼も納得も得られるものではないのですよ。

市長にお願いします。民意を表す議会の意思をどうぞ真摯に受けとめてください。市長の誠意ある対応を心からお願いし、私ども会派の賛成討論を終わります。

 

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議案第107号「活力ある福岡空港づくり基金条例案」に関する声明

私たち緑と市民ネットワークの会は、今議会に上程された議案第107号「活力ある福岡空港づくり基金条例案」(以下、基金条例案)についての採決を棄権いたしました。

以下この件について私たちの考えを表明いたします。

国は今、公共施設の民営化を進めています。具体的にはPFI手法による施設の維持・管理を委託する方式から、更に受託者が施設を借り受け施設の利用料金や運営を決定できる運営権譲渡方式のコンセッション導入を進めています。PFI及びコンセッションは、出資を募り特別目的会社を設立して事業を受託します。投資を募る場合には利益率を決めて募り、設定した利益率を確保できることが前提となります。そのため、今回福岡空港運営権譲渡に際して空港の借地料年間80億円が国の負担になったように、不採算部門は国や自治体に負担を求める構造があります。私たちは、公共部門については国及び自治体が公共的責任を果たすべきであり、運営権譲渡(民営化)すべきでないと考えています。

今回、福岡空港を巡る問題は既に運営権譲渡(民営化)を前提とした議論となっており、この様な議案が出されるまでに運営権譲渡(民営化)の是非について議論がなされてこなかったことは大きな問題があると考えています。福岡空港の運営権譲渡に伴う新会社への出資の是非については、福岡県知事・福岡市長の連名で2014年11月26日に「福岡空港の民間委託について 意見」を国土交通省に提出しています。この「意見」は民営化の条件を付しており、新会社への出資を検討するには十分な時間がありました。しかし、市長は2月議会に唐突に福岡空港ビルディング株式会社株の譲渡金処分の補正予算として提案し、このような議会への諮り方が問題を大きくしました。市長が議会に諮らず、議会での議論がなされて来なかったことは大きな問題と考えます。

他方、新会社に出資することについて私たちは疑問をもっています。出資によってどこまで運営に影響を与えられるのか、また出資することについてのメリットとデメリットが不明確であることを懸念しています。これからの社会は、私たちが経験したことのない超高齢社会で、人口減少が進み急激な変化が起こってきます。市民に対して多額の負担をきちんと説明できずに賛成してしまうことはできないとの考えです。また、運営権譲渡(民営化)により航路誘致競争が激化し、空港使用料等の値下げなどにより経営悪化に陥った場合には、市に様々な負担が求められる懸念もあります。

この様な経緯を見て、私たち緑と市民ネットワークの会は、市民にとってどの様な選択がよいのか、議会として未だ十分に議論が出来ているとは考えていません。また、報道では市長と自由民主党福岡市議団との確執が大きく取り上げられています。福岡市民にとって重要な課題を政争の具にしてはなりません。私たちは市民のために議論を深めるべきと考えるとともに問題提起として、いずれの立場も支持をしないという苦渋の判断をいたしました。

私たち緑と市民ネットワークの会は、市民が安心して生活でき、将来の世代が希望を持って生きられる市政実現に向けて努力してまいります。

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