人工島事業―全体的な収支見通しを示し、事業についての評価を!

5年請願第1号「人工島関連予算を否決し、人工島事業の総合的収支見通しを明らかにし、抜本的見直しを行うことについて」に賛成して討論します。

本請願は野鳥公園の整備とD岸壁の整備を残して人工島造成事業は終了し、土地処分の見通しがたちつつあることに鑑み、これまでの事業全体の収支見通しを出し、事業の検証と事業のあり方の見直しを求めるものです。

市長は2012年の事業見直し時に161億円の赤字であったものが、約150億円の黒字となる見込みとし、あたかも人工島事業は成功しているかのように言ってます。しかし、この事業収支には土地分譲のために使われた立地交付金264億6千万円余および住宅市街地総合整備事業補助金の市負担分112億円余は算入されていません。また、人工島事業には1円も税金を使わないと市民に説明していましたが、税金が湯水のように使われてきました。人工島の土地処分が進まないために計画になかった中央公園の建設約191億円、多くの市民の反対を押し切って移転させたこども病院建設に195億円、総合体育館には157億円、多くの事業者が反対していた青果市場の移転に363億円が使われました。博多港開発が負担すべき道路や上下水の整備も福岡市が肩代わりし、一部を除き販売された土地は埋立費用を大きく割り込む価格で販売されています。人工島はまさに「金食い島」といわれるゆえんです。

これまでも毎年100億円を超える人工島事業関連費が支出されており、2023年度も116億円余の関連費用が支出されます。多額の税金をつぎ込み続ける事業のあり方について検証する必要があります。1989年の計画当初から既に製造業は海外へ移転し始めており産業構造が変わっていたこと、人口動態予測も2010年をピークに人口減少が見込まれていたこと、1990年にはバブルがはじけていることが鮮明となっており住専問題や山一証券の倒産など金融危機が起こっていたこと、これらの状況を見ると事業を進めても土地処分が進まないことは明らかでした。しかし、山崎市長は見直しをした時点で事業を進めても赤字になることが明かであったにもかかわらず、銀行団に決して損はさせないという念書を書いて事業を強行しました。当時の日本興業銀行はこのままでは100億円の赤字となるので福岡市が損失補償をしなければ融資をやめると言っていること、また福岡市と博多港開発担当常務が銀行団の説得に動いたことがケヤキ庭石事件の検察官の冒頭陳述で述べられています。税金を投入しなければ事業は継続できないことを市民に問うことなく事業を続けてきました。これはまさに市民に対する背信行為といえます。

市長は本来市民の暮らしの向上のために使われるべき税金を、破綻が明らかな事業に使い続けてきたことについて市民へ説明する責任があります。全体的な人工島事業の収支見通しを示し、事業についての評価が必要です。本請願を採択し、議会としても人工島事業を検証し、市民への説明責任を果たすことが必要と考えます。

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