月別アーカイブ: 2016年12月

「グローバル創業・雇用創出特区」推進に関する条例案に反対しました。

成長性の高い国内外の企業の集積を図り、経済を活性化させ雇用の創出と税源の涵養を図ることを目的として、特区に指定された企業に、設立後5年間、法人市民税を減税するという議案でした。対象となる事業は「医療」「国際」「農業」「一定のIoT」「先進的なIT」のいずれかの分野で革新性を持った事業とされています。

しかしすでに国は法人所得の20%を控除するとしており、また企業は赤字であれば繰り越し欠損処理を9年間でき、今回の減税が魅力ある制度とは考えられません。また、市独自要件として「福岡市民1名以上の常用雇用」を設定していますが、これで正規雇用が増えるとは思えません。雇用も税源の涵養も十分な成果が期待できず、反対しました。

※法人税を減税してもその半分は株主配当にいき、残りの大部分は内部留保に回ります。法人税減税で経済が活性化することはありません。経済を活性化し税源の涵養を図るためには、イノベーションを起こせるような環境整備、「需要の喚起」が重要であり、公契約条例制定による所得保障や、正規雇用を増やして市民所得を上げる政策を採るべきと考えます。

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795万円! お手盛り、議員の期末手当

「補正予算案に含まれている議員の期末手当795万円の減額」と「議員報酬のあり方について市民に開かれた形で検討する場を設けること」を求める市民団体からの請願について、12月21日に第一委員会で審査が行われました。緑とネットはこの請願の紹介議員となり、「減額すべき」「市民に開かれた議論をすべき」と意見を述べましたが、前者は「不採択」、後者は「(非公開の)代表者会議で協議中だから、その結論を待ってから第一委員会で審議する」となりました。議員報酬について市民に開かれた形での議論が必要です。

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人の暮らしと自然との調和を(第5委員会視察報告)

11月28日に天ヶ瀬ダム(京都府宇治市)と、その上流に位置する瀬田川洗堰(滋賀県大津市)を視察しました。琵琶湖からの水は瀬田川から宇治川、そして淀川を流れ大阪湾に注ぎます。

天ヶ瀬ダムでは「洪水調整機能の強化」「水道用水の確保」「電力能力の増強」を目的としたトンネル式放流施設建設(放流能力の増強)現場を視察しました。台風や大雨での洪水被害に対応した増強だそうですが、近年の雨の被害は想定を超えるものなので、自然災害と開発のイタチごっことならないかと懸念されます。自然環境に負荷をかけない解決方法はないのかと考えさせられます。

瀬田川洗堰はその上流にあります。1986年に大洪水が起こり、河川法が制定され、日本で初めて近代土木技術を導入した本格的な治水対策が行われました。しかし瀬田川の流れが良くなると、下流では洪水を起こしやすくなり、また雨が降らない時期が続くと琵琶湖の水が少なくなり水不足に悩まされるようになりました。これを解決するため1905年に南郷洗堰(旧洗堰)が完成。1961年には現在の洗堰が完成し、1992年にはバイパス水路も完成しています。淀川の流量と琵琶湖の水位に対応して洗堰を操作。生物の生息にも配慮した操作をされているそうです。

琵琶湖は約400万年前に誕生したとされています。人のいのちの水であるだけでなく、多様な動植物が生息・生育している琵琶湖には、毎年、ヒシクイ、コハクチョウ、カモ類などが6万羽以上飛来しており、全国的に見ても名高い渡り鳥の越冬地ともなっていて、鳥獣保護区に指定され、平成5年にラムサール条約登録湿地に指定されています。本市にも希少生物が生息する和白干潟や今津干潟があります。150万人を超える都市だからこそ、積極的に守る必要があります。視察を通じて学んだ他都市の工夫や理念などを本市の政策にも生かしていきます。

(森あや子)

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地下鉄七隈線陥没事故の原因究明を!

11月8日午前5時ごろ、地下鉄七隈線延伸工事で道路陥没事故が起きました。陥没は縦30メートル、横27メートル、深さ15メートルにも及び、ガス、電気、通信、上水道、下水管のインフラも寸断され、またビルの基礎が露出し避難勧告が出されるなど甚大な被害が生じました。多くの事業所・企業の協力を得て7日間で復旧でき、髙島市長のリーダーシップを評価する声もありますが、そもそも事故が起きた原因の究明が必要です。

●安全性よりも経費削減を優先

事故の原因究明は国立研究法人土木研究所に委ねられていますが、もともと工事の技術的検討は福岡市地下鉄七隈線建設技術専門委員会でなされており、「ナトム工法に対する懸念」と「ボーリングのデータから地盤に脆い部分があり得る」ことが指摘されていました。ナトム工法で行うことは承認されましたが、トンネルの深さを1メートル下げるとともに「薬剤注入で地盤を補強すべき」と言われていました。しかし12月3日の西日本新聞の報道によると、鉄枠を倍にすることで補強し、薬剤注入による補強がされなかったことが明らかになっています。11月30日の交通対策特別委員会での交通局の答弁からも、ナトム工法の問題と岩盤の補強がされなかったことが原因だと考えられます。

では何故この工法で施行したのか? 延伸工事は工事区間1.4km、事業費450億円。当初から工事費が高いと指摘されており、採算性が問題となっていました。ナトム工法は本来山岳の比較的岩盤が丈夫な場所で採用されるもので、千年前は海であった博多駅周辺では不適と言われています。福岡市の技術専門委員会でもその点は指摘されていましたが、「開削工法よりも安い」ため、“ナトム工法ありき”で進められたのではないかと推察されます。

市長は事故直後の記者会見で「はらわたが煮えくりかえる」と発言していますが、発注の責任者としての自覚がないのは問題です。

(荒木龍昇)

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