条例予算特別委員会総会で森あやこ議員が意見開陳

3月24日に開かれた条例予算特別委員会総会で、「緑と市民ネットワークの会」を代表して森あやこ議員が意見開陳を行ないました。

森あやこ議員は、「新型コロナウイルスの世界的拡大で大きな打撃を受け、日本経済と福岡にも波及している。「都市の成長」一辺倒の髙島市政では市民の生活、中小事業者の生活は苦境に立っている」と述べ、「予算組み替え動議」に賛成を表明しました。

また自衛隊への名簿提供について髙島市長を厳しく批判しました。原発や環境問題にも触れ、これからを担う若者や子どもたちに持続可能な市政をつないでいくのが私たちの使命であることを強調しました。

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私は、緑と市民ネットワークの会を代表し、今条例予算に付託された諸議案のうち、議案第25号ないし28号、32号、34号、35号、37号、39号ないし43号、45号、47号、50号、51号、55号、56号、64号、65号、70号及び75号に反対し、議案大25号の予算案組み替え動議に賛成し意見開陳を行います。

昨年7⽉「年次経済財政報告」が内閣府に示され、日本経済の現状と課題として、日本の生産は、情報関連財を中心に中国の最終需要に大きく依存し、中国経済の減速などから、製造業を中心に機械投資など設備投資の一部に影響を及ぼすようになっている。今後の米中間の通商問題の動向には不透明感が高いことや中国経済の動向には輸出や生産活動の一部に弱さがみられ、中国と密接な関係のある地域ではマイナスの影響が指摘されており、引き続き注意が必要であり海外経済の動向には注視が必要とされていました。

日本国内のGDPの需要面と供給面の構成の変化を過去四半世紀で見ても、需要面の構成変化では、内需の柱である個人消費や設備投資や政府支出もあまり変化がないが、一方で、グローバル化の進展により輸出、輸入のGDP比はどちらも2倍程度高まり、それぞれGDP比で 2割弱にまで上昇しており、日本経済が海外との結びつきを強めている姿が見て取れ、また、供給面では、製造業が4分の1から5分の1に低下し、他方、公的なサービスやサービス業の割合は増加し、非製造業はおおむね 8割のシェアとなっています。こうした製造業と非製造業の動向のかい離は、日本だけでなくユーロ圏など他の先進国でもみられていることがOECDの研究でも指摘されています。こうした非製造業のシェアの高まりは景気変動を安定化させる方向に寄与すると考えられていますが、生産活動の低迷が長期化すると製造業の雇用者の雇用・所得環境を下押しし、消費に悪影響を及ぼすことで非製造業にも影響を及ぼし得ること。また非製造業の中でも、工業製品のデザイン・広報といった活動や製品の原材料や完成品を扱う卸売業などは生産活動と深く関連しているため、生産の弱さが長引く場合には、一部の非製造業にも影響が及ぶ可能性があることに留意する必要があるとGDP構成の変化として捉えられています。

内閣府からの経済財政報告でも出されているように、2018年度から中国経済の減速している、その状況を示し、海外経済の動向が影響するとされる中、昨年末から武漢で新型コロナウイルス感染症が発生し約3ヶ月続いています。昨日WHOのテドロス事務局長は「世界中のほとんどすべての国であわせて30万人以上の感染者が確認された。『パンデミック』は加速している」と述べ、世界的な大流行がますます広がっているという認識を示しました。

主要7カ国(G7)首脳が今月16日、テレビ会議を開き、日中韓の外相も20日、テレビで対応を話し合う中、「日頃関係がぎくしゃくしがちな米欧や日韓だが、いずれの会議も雰囲気は前向きだった」という報道もあります。世界各国の物流および人の交流制限、経済や生活は大きな打撃を受けています。主要国の政治指導者に求められるものは、対立ではなく強固な協力と柔軟な対応です。

国においては雇用対策や消費対策、企業への融資などの経済対策が検討されていますが、海外経済の動向に影響を受けやすい日本の経済状況を鑑みれば、今後数年に亘り厳しい状況が続くことは容易に予測できます。これまでの流れのままでは、この急性期を乗り越えられない人々が急増します。

本市においても可能な限りの緊急な対策が必要です。

市民生活および経済活動の急激な変化を最小限に維持するための手立てを急ぐべきです。私の直接の知り合いや寄せられた情報など、新卒の方々も内定取り消しや延期となり、新たなスタートできない不安な状況があり、身近なところでもそのようなことが起こっています。議案第25号令和2年度福岡市一般会計予算の組み替えを求める動議にあるように、特に直接打撃を受けるインバウンド頼みの宿泊税については、事業者支援のために、4月1日実施を延期するとともに新型コロナウイルス収束後も一定期間実施を延期すべきです。今行う手立てが、多くの市民や事業者の支えになり、後々の打撃を軽減することにつながると考えます。160万都市の市議会として党派を超えてこのコロナショックに立ち向かうことが重要です。

また、昨年10月から、消費税増税により、格差拡大が進んでいます。格差是正を図り市民の福祉の増進を図るのが、市民に一番近い政治を執り行う地方自治体です。

福岡市の2020年度予算は、2016年から港湾計画が実態と大きく乖離してきているにもかかわらず中央埠頭をはじめとする湾岸部の再整備、天神再開発や博多駅周辺の再開発を優先するものとなっています。

本市において、人口減少はまだ先と思っていても、少子高齢化は、急速に進みます。

社会全体で、女性や高齢者の活躍推進により就業者数は増加を続けており、若年層で消費性向が低下しているなど、雇用・所得環境全体の改善に比べると消費の伸びは緩やかにとどまっているとされていますが、安倍政権の6年間で非正規雇用が4割と増え実質賃金はマイナスとなっており、福岡市も同様な実態です。

経済の安定のためには、現在だけでなく将来を含めた雇用・所得環境の安定が重要です。

多様な働き方が、双方から求められては来ていますが、無くしてはならないのが将来も安心できる、この雇用・所得環境の安定です。非正規雇用の増加が職場の安定を損なっています。

働き方改革は進められていますが、単なる働き方改革だけでは労働意欲を高めにくく、働きがいを重視することも重要です。組織の「健康診断」を実施して職場風土を改善し、生産性アップや離職防止につなげるため、経団連が旗を振り、三井住友銀行が全行で意識調査を始めるとのことですが、このような時こそ、働きがい改革を、公的部門が旗振り行っていくべきと考えます。

2020年度から会計年度任用制度がスタートし、また、福岡市立学校の特別措置に関する条例の一部改正する条例案も上程されていますが、「人を支えたり育成したりする」その重要な役割がある「人」を支えなければ、社会は崩れていきます。人を大切にするための働きがい改革の視点に立ち、一人ひとりが生きがいを持てる質の高い持続可能な社会となるよう改善されることを求めます。

また、医療や介護の場面でも、一人でも元気な市民が増えることが、制度の安定につながります。弱い立場の市民を支え、地域ぐるみの助け合いが高まる取り組みとなることを求めます。

「都市の成長」に優先的に投資することをやめ新型コロナウイルス感染症による経済危機を乗り越えるためにも「人への投資」優先に切り替えることを求めます。開発優先の市政は気候変動を助長することにつながります。都市の構造として、質の高い緑地およびオープンスペースを増やし、省エネルギー建築物を一層促進し、これ以上河川やため池、博多湾の埋立てはすべきではなく、まちが持つ治水能力を少しでも上げることが重要です。

また、2020年度4月1日より、毎年髙島市長は自衛官募集に18歳、22歳の名簿を提供するとしています。この自衛官募集のための名簿提供問題について、小郡市は、以前は自衛隊への名簿提供に応じていたが、3年前に個人情報保護審議会に諮問したところ、個人情報を一括提供するのは、問題があり、良くない、との答申を得たので、住基法に基づく閲覧に切り替えています。重要な個人情報保護にかかる人権の問題を、事務の効率化のためとし、丁寧な周知をせず、 諮問した審議会からの答申は要望の範囲なので一人ひとりに確認する必要はないとする、行政としての判断に問題はないのでしょうか。公益上の必要性としても、自衛隊強化ではなくレスキュウ機能と体制強化を図ることが重要と考えます。一組織のリクルートのために多くの若者の個人情報が本人の同意なく提供されることは決して許されることではないと考えます。

昨日の荒木議員の質疑には、市長は一度も答弁をされませんでした。市民から選ばれて当選されている市長です。法的に問題が無いとお考えなら、議会の場で自ら市民に対して市の方針とその説明をきちんとされるべきです。

また、原発に頼らない社会をつくることが重要です。福島第一原発事故の終息も、核のごみの問題も、私たちの世代では解決できず、次世代や次々世代への大きな解決不可能に近い宿題です。

今後の気候変動も含めた社会情勢は、今の子どもたちや若者にとって大きく影響する重要な避けられない問題です。この社会をつくってきたのはこれまでの大人の責任ですが、今後を担うのは若者や子どもたちです。

市民に対して誠実な市政運営を推進することが重要であるとし、私ども会派の意見開陳を終わります。

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