決算特別委:決算に関する意見開陳(荒木議員)

2014年度は、安倍政権が前年(2013年)12月に特定秘密保護法を強行採決、7月1日に集団的自衛権を行使するための閣議決定を行い、武器輸出三原則を廃止し、戦争する国へ着々と準備した年でした。

同時に国民の目をそらさせる経済政策としてアベノミクスの三本の矢が華々しく打ち出され、また2013年12月には、4月からの消費税8%への増税の景気対策として5兆円のバラマキ補正予算が組まれ、多くは2014年に繰り越されました。しかし、アベノミクスの恩恵を受けたのは一部の輸出関連企業で国民の所得は伸びず、実質賃金は下がり続けました。輸出関連企業の収益増の多くは日銀の金融緩和策の円安による為替差益でした。輸出はそれほど伸びず貿易赤字が続き、海外へ工場を移転させた造業が復活する状況ではありません。アベノミクスの経済政策は破綻が明らかになっていますが、経済競争力会議が進めてきた労働者使い捨ての政策は今年9月に派遣労働法が改悪され、TPPの大筋合意、そしてアメリカのような1%の富裕者のための国へとさらに近づきつつあります。

福岡市でも、「生活の質の向上と都市の成長の好循環」というスローガンを掲げ、安倍政権に呼応して国家戦略特区「グローバル創業・雇用創出特区」、いわゆる「解雇特区」に応募し、指定を受けました。経済成長すればやがて市民にもそのおこぼれが回り生活がよくなるというトリクルダウンの理論はこの福岡市でも破綻していることは明らかです。高島市長は国内外から企業誘致を進めていますが、雇用が増えても非正規労働者が増え、貧困と格差は広がっています。

いま喫緊の課題は貧困と格差が広がっていることに対する政策です。とりわけ子どもの貧困状況は、厚生労働省が2014年7月にまとめた「国民生活基礎調査」によると、「相対的貧困率」は16.1%、これらの世帯で暮らす18歳未満の子どもを対象にした「子どもの貧困率」も16.3%、ともに過去最悪を更新しています。デフレで所得が伸びず、とりわけ母子家庭の50%以上が貧困状態となっています。地方自治体の本旨は住民の福祉の増進を図ることです。

2014年度においても、福岡市は立地交付金を増額して企業誘致を進め、破綻が明らかな人工島に100億円以上もの税金をつぎ込んでいます。また、水が余っているにもかかわらず五ヶ山ダムを建設、ゴミ減量が進んでいるにもかかわらず焼却場の見直しやクリーンエナジーの見直しはしていません。さらに、わずか数分しか短縮効果がない不要不急の人工島への接続道路の建設計画、ウォーターフロント開発を進めるなど、ムダな公共事業を見直そうとはしていません。

他方、いじめと貧困対策に求められているスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラー、司書、教職員などの増員には取り組んでいません。また、高齢化が進む中で年金の切り下げや消費税値上げ、国民健康保険や介護保険も市民にとって大きな負担となっているにもかかわらず、黒字でも負担軽減をしようとしていません。このような市民不在の市政には賛同することはできません。

福岡市が持続可能な市政にするためには、市民が住みやすい街、暮らしやすい街として実感できることが重要です。市政の転換を求めて意見開陳を終わります。

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